おいしい「食」生活 ver.2

2014〜17年「ラーメンWalker」埼玉県百麺人を担当。アラフォー独男が自腹でラーメンをはじめ"おいしい○○"を紹介する"B級グルメ中心"の日記。

『ルージュの伝言』は「金言」である。

「私は“天才”です」——その天才は言い切った。齢十六にして読んだ『ルージュの伝言』。一行目のその文字に、私はいたく衝撃を受けた。「天才」と言い切れば天才でまかり通る。「この世でほんとうに正しいことなんか何もない。はっきりと断定したことが真実になる」は、今も私の座右の銘である。

一九九四年、ある日テレビから耳にした『Hello,my friend』で、天才が紡ぐ詞の虜になった。ユーミンこと松任谷由実
多くの「消費」される 音楽とは違い、少女の普遍的な心理を歌っていた。ファン心理は、その才能のすべてを知ろうとさせる。そして、ファンは自らを作品の世界に重ね合わせ、少しでも近づこうと努力するのだ。

当時、私は横浜の高校に通っていた。勉強ができる方でなかったので、よく授業中、歌詞の写経に興じた。ユーミンの歌詞をノート端に走り書きしては、空想に耽っていた。

高校は進学校でなかった。国語や英語の成績は特段良いとは言えず、中の上程度。
子供はほぼ「天才」は勉強のできる人を連想する。
 
だから、私は天才と言われたことは皆無だ。しかし、ユーミンはまるで違った。「天才なんて別に相対的なものじゃなくて、絶対的なものでしょう。だからいいんじゃないかな。他人がなんて思おうと自分で思っている分には」と諭した。
 
続けて、いわゆる勉強ができるタイプは「秀才」。
一方の「天才」はアウトプットの回路を持っていて、新しいものをバンバン生めるものだと教えてくれた。

あれから十数年。広告業界などで仕事をして、その意味が分かった。
社会では秀才は新たなシステムは創らず、システムに組み込まれるだけ。少数の天才が新たな価値観で、新たな組織を創るのだと。
 
もう一つ言い切れるのは、ユーミンは絶対的な天才ということ。
ルージュの伝言』は、私にとっての金言だ。