日本の“冬の”恋と、ユーミンと。
先日、ユーミンこと松任谷由実のデビュー40周年記念ベスト盤『日本の恋と、ユーミンと。』が発売された。
私はユーミンの18年来のファンだが、特に歌詞が好きで表現の仕事を志向し、卒業後に編集やらライターの仕事に就いた。
ユーミンといえば、90年代まで毎年末に新譜を発売し、冬のイメージが強かった。
実際アルバムの発売日前後に全国ツアーが始まり、二月に、今も続く「苗場プリンスホテル」で連日コンサートを開催していた。
さて、前出ベスト盤にはイメージ通り冬の曲も数多い。
収録曲の一つ『埠頭を渡る風』は私が生まれた1978年に発表され、今もコンサートで披露される。東京・晴見埠頭と冬の海、失恋の痛手を表現した曲だ。
ちなみに、1998年にリリースされた“松任谷由実としての初ベスト盤”『Neue Musik』にも「埠頭を渡る風」は収められている。
海の曲では、1978年当時邦楽では春・夏の穏やかな海の曲が多く、あっても冬の日本海よろしく演歌調の曲だったろう。曇り空を映す灰色の海に恋を投影した『埠頭を渡る風』は、まさに冬の「日本の恋」のこの上ないBGMなのだ。